商標・知財コラム:峯 唯夫 先生COLUMN

弁理士法人レガート知財事務所 弁理士
峯 唯夫 先生

遠野・河童・街おこし

■ 遠野の河童
遠野の河童。柳田国男の『遠野物語』で有名になった遠野の民話と共に、「河童伝承」は遠野の知的資産です。
単に、『遠野物語』の舞台である、というだけでは観光客は来ない。河童がいてこそ、観光客が集まる。遠野観光協会の観光モデルコースでも、主役は河童の「河童淵」とその脇にある「常堅寺」。合羽渕は、河童がたくさん出てきて人にちょっかいを出していたとされ、河童に懸賞金1,000万円がかけられ、「カッパ捕獲許可証」が販売されています。河童は人情も厚かったようで、常堅寺が火事になったとき、河童が常堅寺の火事を消して狛犬になったという伝説があり、常堅寺には頭にお皿をのせた「河童狛犬」がいます。お皿にはお賽銭が。

■ 河童は妖怪?
柳田国男は、河童は、本来は農耕や水源を司る神様だったものが、時代とともに妖怪へと変化した、といいます。遠野には、江戸時代の飢饉の際、子供を水に流し「河童になれ」と言ったという話もあるようです。他方で、悪戯をして馬や人を水中に引きずり込み、内臓や「尻子玉(しりこだま:肛門付近にあるとされる想像上の玉)」を抜くという伝承もあります。
遠野の河童は顔が赤茶色であったと柳田さんは記しており、井上ひさしは、『新釈 遠野物語』に、赤茶色の顔をした転校生が、その友人の弟の「肝」を抜いた(ようだ)という話を書いています。


(筆者撮影)

■ 河童で街おこし
遠野市は河童や民話を知的資産として活用し、多くの観光客を呼び込んでいますが、河童で街おこしをしている自治体は他にもあります。「鉄」としては、久大本線の田主丸駅(久留米市)が頭に浮かびます。ここの駅舎は河童の形。町中にたくさんの「河童像や祠」が点在し、これらを巡るかっぱガイドツアーがあるようです。
田主丸の河童は、北九州市出身の火野葦平が河童のご神体を見て回り、伝説をノートに書きとどめ、生涯で43篇、原稿用紙1000枚を超える河童の小説を書き、『河童曼陀羅』という集大成が生まれたということです(田主丸町HP)。『河童曼陀羅』、読もうと思ったら15000円(図書刊行会)。見送りです。

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