商標・知財コラム:峯 唯夫 先生COLUMN

弁理士法人レガート知財事務所 弁理士
峯 唯夫 先生

古墳で出土の盾形銅鏡を商標登録

■ はじめに

このコラムに何を書こうか、と考えつつネットで情報を探していると、次の記事に出会いました。
「日本最大の円墳・富雄丸山古墳(奈良市、4世紀後半、直径約109メートル)で出土した『ダ龍文盾形銅鏡』の文様を奈良市が商標登録したことが2日分かった。登録は3月14日。市埋蔵文化財調査センターによると、特定業者に先に登録され、独占的に使用されないための措置で、『オリジナリティーのある文様で貴重な財産。奈良市のシンボルとして広く使ってもらえれば』と話している。」
(共同通信 https://nordot.app/1192000026546651566?c=110564226228225532
登録番号は第6787387号、権利者は奈良市、指定商品は19の区分に及んでいます。出土品では不明瞭な模様が、登録商標では鮮明に描かれています。

■ 雑学の旅へ

商標の仕事の楽しみの一つに、雑学との出会いがあります。
富雄丸山古墳とか、ダ龍文盾形銅鏡(だりゅうもんたてがたどうきょう)。初めて目にする名前だったので奈良市のHPを見たところ、次のようなものであることが分かりました。
富雄丸山古墳(とみおまるやまこふん)は、日本の奈良県奈良市丸山にある古墳であり、4世紀後半に築造された日本最大の円墳(直径109m)。
ダ龍文盾形銅鏡は、長さ約64 cm、幅約31 cmで背面中央に鈕があり、その上下には倭鏡に認められるダ龍鏡の図像文様が確認できます。ほかにも鋸歯文を中心とする文様があり、類例のない銅鏡です。表面が平滑に研磨されており、倭鏡工人が製作したとみられます。
出土時には新聞でも紹介され筆者の記憶にも残っていた、長さ約267 cmの蛇行剣と共に発見されたものとのことです。(https://www.city.nara.lg.jp/soshiki/3/200017.html

■ 奈良市の商標

これを機会に、奈良市が保有する商標を検索してみました。

  • ・ナラニクル\NARANICLE 登録6009858 (39)
  • ・Old history,New discovery. 登録6749306 (4区分)
  • ・SHIKA no ASHIATO 商願2024-009932 (9区分)

ダ龍文盾形銅鏡の商標は「奈良市のシンボルとして広く使ってもらえれば」と考えているとのこと。他の登録商標と共に、奈良市に商標の使用規程のようなものがあるかと思い検索しましたが、見つかりません。

■ 奈良筆

使用規程を探している中で、「奈良筆」(指定商品:奈良県及びその周辺地域で生産された筆)が地域団体商標として登録されていることを知りました(登録6415196) 。国指定伝統工芸品であり、奈良筆の特徴は、十数種類の動物の毛を原料とし、弾力や長さなど異なる毛質を巧みに組み合わせる「練り混ぜ法(ねりまぜほう)」という伝統的な技法で作り上げていることです。
「古墳で出土の盾形銅鏡を商標登録」という記事から始めた雑学の旅でした。

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