商標・知財コラム:特許業務法人レガート知財事務所 所長・弁理士 峯 唯夫 先生

「地域団体商標」は、意味を伝えることが重要

沖縄県工芸振興センターでの知財セミナーでお話しをする機会がありました。このセンターでは紅型をはじめとする伝統工芸の職人になるための講座があり、そこの卒業生を対象としたセミナーです。
主催者からの依頼は、「知財で護る」ですが、護ることばかり考えても楽しくない、という思いで商標を使って売上げを伸ばす方策を提言。
どこの産地へ行っても同じなのですが、地域団体商標や県の認証マークなどがうまく活用されていません。
産地の人たちは、商標やマークを付ければ「それでよし」と考えているようです。しかし、マークを付けるだけでは需要者に伝わらない。
地域団体商標は「地名」+「普通名称」ですからもともと識別力が希薄です。広く知られているから登録された、という経緯はあるとしても、その商品に接する需要者のうち、どれほどの人が「地域団体商標として評価されている商品だ」と理解するでしょうか。地域団体商標である「琉球びんがた」と「びんがた」の違いを理解する人は希有であるように思います。農水省の「地理的表示」も同じです。
マークの由来、価値が伝わらなければマークを使う意味がなく、差異化のツールにも、ブランド作りのツールにもなりません。
「説明をする」、これが出発点です。
手っ取り早い方法は「タグ」に説明を書くこと。「無印良品」のタグが参考になります。また、産地が観光地であれば、旅行ガイドブックに掲載してもらう、という方法もありそうです。
産地の人たちが、「意味を伝える」ことの重要さに気づき、地域団体商標や認証マークを活用し、ブランド作りを進めていただきたいものです。

 

特許業務法人レガート知財事務所 所長・弁理士
峯 唯夫

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