首都大学東京 法科大学院 元教授 元弁理士 工藤 莞司 先生
鉛筆の商標とその歴史
=真崎鉛筆そして三菱鉛筆へ=
文書作成にパソコンが主流になって久しい。かくいう自分も、パソコンに向かって駄文を書いている。机上のパソコンは何代目であろうか。加筆訂正自由で、しかも貼り付けも出来、私のような駄文書きには重宝で、しがみ付いている感でさえある。それでも、未だ手許には鉛筆もあり、時々使用している。メモや下書きに利用している。その一本が”三菱鉛筆”である。
三菱鉛筆の歴史 三菱鉛筆は我が国のトップランナーである。
1878(明治11)年パリ万博出席のため渡仏した佐賀藩出身真崎仁六が、鉛筆に出合いそれを研究して10年後わが国で生産を開始したのが真崎鉛筆、後の三菱鉛筆である。バリ万博が絡んでいるのが興味を惹く。そして、スリーダイヤ図形の商標を採択し、明治36年2月27日登録第18865号として商標権を得ている。
ご存知の方も多いと思われるが、岩崎家系の三菱グループとは無関係である。
新宿御苑裏の多武峯神社境内に、”鉛筆の碑”がある。真崎仁六が工場を構えて国産に成功した地である。少し前だが私も訪ねている(2017.2.27)。
因みに、わが国への鉛筆の渡来は古く、徳川家康がメキシコ産鉛筆を手に入れて使用し、それが久能山東照宮博物館に遺されているという。
鉛筆は、現在三菱鉛筆の外、”トンボ鉛筆(図)”(昭和2年4月16日登録第190166号)がシェアの上位を占めているようである。この外に、”ヨット(図)”(明治43年9月13日登録第42824号)や”麒麟(図)”(大正9年12月20日登録第123470号)、”コーリン(図)”(昭和5年8月8日登録第217825号)などがあり、我が小中高時代からお世話になったことは間違いなく、今後も手許に置き続けるであろう。
参考 「工業所有権制度百年史上巻」356頁(昭和59年 特許庁編)、「日本商標大辞典」760頁他(昭和34年 商標研究会編)




