商標・知財コラム:工藤 莞司 先生COLUMN

首都大学東京 法科大学院 元教授 元弁理士 工藤 莞司 先生

大谷選手と商標事件
=偽ユニホーム関税法違反容疑=

大谷翔平選手の大活躍は、連日マスコミを通じ我が国ファンを賑わしている。先日購読紙に次のような記事を見付けた。野球のプレーではなく、
 ”大谷偽ユニホーム密輸”のタイトルの下、米大リーグ・ドジャースの大谷翔平選手の偽ユニホームを密輸しようとしたとして、東京税関は24日会社員を関税法違反容疑で福島地検に告発したと発表したとある(24年10月24日読売新聞夕刊)。掲載写真は、大谷選手のユニホームで、背番号と「OHTANI」と「Dodgers」が表示されている。さて、何の侵害での関税法違反なのかなと首を傾げた。関税法は、特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権、著作隣接権、育成者権を侵害する物品、不正競争防止法2条1項1号から第3号まで、10号、17号又は18号に掲げる行為を組成する物品と規定している(69条の11第9号、10号)。
ネット検索したら、スポーツブランド「ナイキ」に類似するロゴが入ったユニホーム3着を、浜通りの10代男性ら3人に計2万6千円で、フリーマーケットサイトで販売し商標権侵害の疑いとの情報に接した(福島民友社10月25日配信)。

大谷選手やドジャースの商標ではなくて、ユニホーム製造者「NIKE」の商標と分かり、なる程である。侵害者にしてみれば、大谷選手用としては、当該ユニホームの外観的文字で足りようが、製品として流通させるには製造者「NIKE」の商標の使用も必要であったのであろうか。我が国商標権の侵害の問題であるから、IPDLデータベースで検索したら、それらしい登録商標があった(登録6509765号外)。
 大谷選手の人気にあやかった事件であるが、許されるものではない。被害が広がる前に事件が発覚したのが幸いである。大谷選手は、ワールドシリーズも制覇し頂点へと達した。ユニホームの人気もうなぎ上りとなろうが、偽物事件は終わりにしてほしい。

メルマガ登録いただくことで、
商標・知財コラムを
定期的にお届けします。

無料

メールマガジンに登録するNEWSLETTER

高度な技術を有した調査員が、
商標・知財への取組みを
サポートします。
お気軽にご相談ください。

お問い合わせ

TEL

03-5296-0033

平日9:00~17:00
Mail form
お問い合わせ