商標・知財コラム:加藤 ちあき 先生COLUMN

弁護士法人窪田法律事務所 弁理士 加藤 ちあき 先生

眼鏡と消防車、お引っ越しです!

職業病でしょうか…。スーパーマーケットの中をぐるぐる歩いて商品やサービスを眺めるのが好きです。スーパーの陳列棚というのは、特許庁商標課が類似と推定する商品のグループ(類似群)ごとに殆どの商品が並べられています。フロアが分かれている場合でも、例えば35類の小売に付けられている類似群コード35Kの後ろが同じものはだいたい同じ階に置かれています。方向音痴とよく叱られる私ですが、スーパーの中でしたら見知らぬ土地でも迷わず商品に辿り着くことができます。皆さんもそうですよね(笑)。特許庁が定めた類似群というグループは、「用途・販売店主義」と呼ばれる方式(=使い途や流通経路が同じものを同じグループに所属させる考え方)で括られているからです。

さて、今年も4月28日から5月2日にかけてニース協定の第35回専門家会合がジュネーブにて開催されました。ニース協定という条約はこの世に存在するありとあらゆる商品やサービスを45の分類に分けて整理しています。協定の加盟国や利用地域では、このニース分類に従って商標登録出願を行うことになっています。今年、日本はニース加盟から35周年を迎えました。

今年の専門家会合では、いわゆる「9類肥大化問題」に一定の決着が見られ、大きな話題となりました。9類の肥大化問題といいますのは、他の分類に属する商品の数に比べて9類に属する商品の数が極端に多いことを指します。現行の9類には「主として、科学用又は研究用機械器具、視聴覚用及び情報技術用装置、並びに安全及び救命用具を含む」とされていることから、結果として1,100近い商品がリストされています。第23類には25個しかないのと比べますと対照的で驚きます。これは、ニース協定が「材料・用途主義」という考え方で区分を整理していることに起因します。このため、以前から各種の弊害が指摘されてきました。特に9類肥大化の議論に熱心だったのはアメリカです。今回の会合でも、USPTO(アメリカ特許商標庁)とINTA(国際商標協会)の提言がきっかけとなり、WIPOの国際事務局が、加盟国官庁に対し事前にアンケートを実施した上で議論がなされました。

アンケートの結果、「9類の一部商品を別の区分に移す」という案に賛同した官庁が多かったことから、どの商品を何類に移したらよいか、個別に議論したようです。投票の結果、以下の商品群が別の区分へとそれぞれ移行されることになりました。

この「お引っ越し」は、来年1月1日に発効することになっています。やがて特許庁から正式なアナウンスがあると思いますので、ぜひ注目していただけたらと思います。

以上

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