商標・知財コラム:特許業務法人レガート知財事務所 所長・弁理士 峯 唯夫 先生

すすきのジンギスカン

先日、特許庁(実施主体はINPIT)の「窓口支援強化事業」で札幌へ。
相談案件を終えて解放され、「すすきの」で海産物系の夕食。その後、軽くジンギスカン。
峯は、まだ「ラム」がなく「マトン」が臭いといって毛嫌いされていた頃からの羊好き。家には親からの遺品でジンギスカン鍋があります。

札幌のジンギスカンは、大きく分けると、
「松尾ジンギスカン」のように、たれに漬け込んだ肉を焼くタイプと、そのままの肉を焼いて、たれをつけて食べるタイプの二つ。
そして後者は、鍋の上に野菜をもやしなどの敷き詰めてその上に肉をおいて焼くタイプと、肉を直に鍋に置き、野菜は脇に置くタイプの二つに分かれます。
峯の好みは後者。
と、ある店でそのようなジンギスカンを食べた後、帰路につくと、目の前に「すすきのジンギスカン」という看板が。

峯  「すごいダイレクトな名前だね。」
札幌の友人  「なんか客が並んでる店なんだよね。」
峯  「ネットで検索するとトップに出るんじゃないかな。」

こんな会話をかわし、東京に戻って「すすきの ジンギスカン」で検索しました。
当然にトップに出ると思いきや、「札幌すすきののジンギスカンでおすすめしたい人気のお店」のような、紹介サイトが上位に並び、やっと1枚目の最後に出ていました。

「すすきのジンギスカン」。店主はどういう思いで名付けたのかに興味があります。
「俺の店こそがすすきので一番のジンギスカンだ」なのか、単に「すすきのにあるジンギスカンや」だということなのか、「ネット検索でトップに出るだろう」という深慮があったのか。

商標の仕事の楽しさって、その辺にもありませんか。
提案された商標が、なぜ採択されたのか、何を目的としているのか。
峯は、これを依頼者から聞くのが楽しみです。

「すすきのジンギスカン」では、深慮はあまり成功していないようですね。Google検索の一枚目とはいえ最後ですから。
「すすきのジンギスカン」の商標登録出願もしているようですが、3条で拒絶されています(2005-063984)。
ちなみに、「ジンギスカン」で検索してみました。
最初の登録は、登録番号526791号、登録日は1958(昭33)年09月11日。指定商品「菓子及び麺ぽうの類」。権利者は札幌の千秋庵製菓です。どんなお菓子を考えていたのか??

登録番号526791号

「千秋庵」を知らない方も「六花亭」ならばお分かりでしょう。「六花亭」は70年代まで「帯広千秋庵」であり、札幌千秋庵の店舗でした。「帯広千秋庵」が「ホワイトチョコレート」を開発し、筆者が学生の頃は、帯広でしか買えないお土産でした。
ホワイトチョコレートの成功によって、札幌の千秋庵からのれん分けをし、その後「千秋庵」の店名(のれん)のバッティングを解消すべく「六花亭」に変更し、今に至っているということになります。

 

特許業務法人レガート知財事務所 所長・弁理士
峯 唯夫

メルマガ登録
峯 唯夫 先生

峯 唯夫 先生
バックナンバー

ページTOPへ