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SMAPの解散と知的財産権

アイドルグループのSMAPが2016年12月31日を持って解散することが発表されました。事務所の独立問題やメンバーの確執が解散の原因と言われ、しばらくの間テレビやインターネットをにぎわせる話題となりそうです。


さて、SMAPが所属する株式会社ジャニーズ事務所は、「SMAP」という商標を、2016年8月時点で6件保有しています[1]。音楽の演奏や演劇の上演に対して商標権を取得していますが、アイドル本来の活動以外にも、アイドルのグッズを売るなど広範囲の活動もあるためか、傘や履物[2] といった商品に対しても権利を取得しています。

解散後にSMAPとして活動を行うことはないと噂されていますが、今まで築いてきた「SMAP」という名前については解散後も使用することができるのでしょうか。


株式会社ジャニーズ事務所で商標権を取得している「SMAP」関連の商標については、株式会社ジャニーズ事務所が使用許諾をしてくれない場合には、勝手に使うと権利侵害となる可能性があります。


アーティスト名についてはどうでしょうか。株式会社ジャニーズ事務所は登録番号3047285号において指定役務「演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏」とする商標「SMAP」を取得しています。株式会社ジャニーズ事務所が使用許諾をしてくれない場合に無断で名乗ったら権利侵害となるのでしょうか。


現在の日本では、アーティスト名や芸名が商標として認められるかというと微妙な部分があります。現在の特許庁の運用では、識別力がないとする傾向(商標として認められないとする傾向)にあります。最近では指定商品「CD」に対し商標「LADY GAGA」を出願したところ、自他商品の識別力がないとして拒絶されたという有名な事件がありました。


SMAPと言えば、ヒットソングを多く出してきましたが、各メンバーは株式会社ジャニーズ事務所から使用許諾を貰えない場合、今までのヒットソングも歌えなくなるのでしょうか。


音楽を作詞、作曲すると、登録手続をすることなく、創作と同時にその人に著作権が発生します。著作権者には、権利を譲り受けた音楽出版社も加わったりします。

著作権者の多くは音楽著作権管理団体に管理を委託しています。SMAPの場合は、管理団体「JASRAC」という一般社団法人日本音楽著作権協会に400曲程の音楽著作権の管理が委託されているとのことです[3]。解散した後でもSMAPの歌を歌いたいのであれば、この著作権協会に使用料を支払うことで歌うことはできるのかもしれません。


しかしながら、商標や著作権についても、契約により制限されている場合は、使用や実施ができないことも考えられ、今後、解散後のメンバーは歌えなくなり、SMAPファンにとっては悲しい結果となるのかもしれません。


(市原)


[1]  J-PlatPat (2016年8月22日現在) による
[2]  商標登録第2297874号による
[3]  「SMAPの曲、独立したメンバーは歌えなくなる 著作権上はOKだとしても、現実は厳しい... : J-CASTニュース」による

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